表示灯(7368)の株価考察

表示灯とは

四季報によれば、「鉄道駅や庁舎に設置された地図広告「ナビタ」を独占展開している。交通屋外広告、看板設置も手がける。」との事。2021/4に東証2部上場。

2022第二四半期の売り上げの85%はこのナビタ事業であり、これは鉄板感のある超地味な安定事業だなーと感じます。下に決算資料からのコピペを貼りますが、鉄道会社とかから場所を貸してもらって、周辺地図を掲示するついでに、近所の店から広告を募集して広告掲示料を取る事業です。これって鉄道会社じゃなくて専門にやってる会社があったんだ…という感じです。驚きです。売り上げ100億ちょっと、営業利益10億ちょっとの会社です。

下の資料の通り、全国の主要駅の82.5%にこれを置かせてもらっているそうです。独占企業ですね。この会社の説明によれば、鉄道会社にとっては、周辺地図を更新する手間・コストが省けるし、周辺で商売をしている人たちからすれば、駅の地図の横に広告を出せるのは、信用がとても高まるのでニーズが高いと言うことです。うまい商売ですね。創業者の吉田さんは、25歳でこの事業を考えだしてから、とても苦労されてここまで会社発展させてきたようです。→記事

駅以外でも、いろいろな公共施設でこうした広告付き地図を設置しているようです。

仮に広告設置場所の提供者である鉄道会社などがこの会社以外に発注先を探そうとしても、こうした特殊な看板設置のスケールメリットや、地域の広告出稿者を探すコストを考えれば、新規参入の他社に勝ち目があるように思えません。

下の資料の通り、お客さんは病院関係が1番多いようです。また、グルメやショッピング、旅行系はコロナの影響もあってか、直近は調子が悪いようです。

2021/4 IPOからの推移

公募    2000円

初値    2672円

1/14の終値 1484円 時価総額70億円

供給された株数は1,220,000株。ただでさえIPOが多くてマーケットが良くなかったタイミングで、供給ボリュームもとても大きく、そこそこ成熟した会社なので創業者の上場ゴール感もあるので、初値は全然伸びなかったようです。そこからさらに結構落ちてきているので、今はまあまあバーゲン価格かと思います。

ちなみに公募650,000株、売り出し570,000株なので、創業者は11.4億円を手に入れたことになります。

オーナー企業

創業者の吉田会長が、資産管理会社も含めると34%、ナンバーツーの栗本副会長が、資産管理会社も含めると32%保有しています。それぞれ1941年生まれ、1945年生まれなので、かなりのご高齢です。経営の第一線から引かれているとは思いますが、それでも株価が高くなるよう努力してくれと言う意向は当然持っていると思います。

創業者オーナーが強いリーダーシップを持って株価をぐんぐん引き上げていくような展開は考えにくいですが、とはいえ、吉田栗本コンビが目を光らせているので、サラリーマン社長がダラダラやって株価がズルズル下がるような展開も考えにくい状況と思います。

ちなみに2008年から2022年までの間は、上田さんという方に社長を任せていました。上田さんは2000年にこの会社に入社していますが、もともとは日本長期信用銀行で銀行マンをしていたようです。おそらく能力も高く、長銀の倒産もあって苦労された方なのだろうと思います。

上田さんは残念ながら2022年1月に亡くなってしまい、後継社長は副社長をしていた佐々木さんと言う方になっています。佐々木さんはもともと警察官僚なので、警察関係への営業力を期待され、入社したのだろうと思います。

まぁここまで会社が大きくなっていれば、ある程度誰が社長やっても大丈夫だと思うので、特に問題ないと思います。

バリュー株

時価総額は70億円で、流動資産は68億円あります。無借金です。東京大阪名古屋に自社ビルを持っています。東京本社は青山にあります。むちゃくちゃ裕福な会社だと思います。

というか、上場した意味が全くわかりません。おじいちゃんオーナー二人、証券会社に騙されたのかな笑

株価について

この会社はコロナ前までは1株当たり200円以上稼いでいたので、今の株価からすれば、PERで7~8と言う水準です。広告業でもあるのでコロナで多少の落ち込みを見せており、今期の会社予想1株当たり利益は164円です。

上場した時は、まあ大きな成長も期待できるわけじゃないし、IPO銘柄は多すぎるし、調達資金も大きいから、PER10位でもやむないか、位に考えたのでしょう。創業者もIPOには全然詳しくないでしょうから、ある程度証券会社の言いなりに値決めされてしまったようにも思います。そんなふうに考えると、今の株価は激安に感じます。

その一方で、この会社がどういうストーリーで株価が上がっていくんだろうか?と言うのも、正直あまりイメージが湧いてこないです。でも配当利回りで既に4%になっているので(60÷1500)、例えばNISA口座の余った枠で買って、5年ほったらかしとかでも良いように思います。

ちなみに下のチャートを見ると、8月と11月で株価が大きく下がっていますが、ここはそれぞれ四半期決算が出たタイミングで、会社利益予想の半分位の実績、大きく下回った実績が出てしまっています。このペースで行くと、通期の1株当たり利益は90~100円位になってしまうと思います。会社の説明としては、コロナの影響で営業が振るわなかったと言うことです。確かにこの会社のビジネスモデルを考えると、広告は3年契約らしいので、2021年はコロナが始まって2年目に入りますから、1年目より悪化するのは普通かと思います。