ビーイングHDとは
四季報によれば、生活物資に特化した3PL(物流一括受託)事業を展開している。北陸地盤に、全国にエリア拡大中。
2020/12東証2部上場。
この会社の強み
- 事業方針がとにかく手堅い。3PL…物流のアウトソース一括受託をしており、扱う荷物も精密機械とかアパレルとかのややボラの高い高価格品を扱わずに、量の安定している生活物資に特化している。
- 取引先のお得意様トップ3は、クスリのアオキ、三菱食品、パルタックで、取引の50%以上がこの3社だが、3社とも物流網を拡大基調にある&業績的にも超優良企業なので、ともに拡大していくチャンスはとても大きい。
- あとそもそも、上の優良3社と取引をさせてもらっているのがすごい。仕事のレベル・従業員の教育レベルが相当高くないと、こういう優良大手企業から選んでもらえない。間に与信を保管する会社を挟まりたりすることもよくある。なので物流業界では、こういう優良大手企業と直接取引させてもらえているということが、他の会社への新規開拓時にも大きな信用になる。→参入障壁
- 3PL事業はネットショッピングの拡大を背景にマーケット規模が毎年10%近く拡大しているので、事業拡大のチャンスは十分ある。
- ドミナント戦略。あくまで地元の北陸エリアを中心に、周辺エリア、北関東や関西北部、東北などに徐々に拡大しようとしている。いきなり東名阪エリアにたくさん拠点を作ったりはしない。自分の熟知している、優位性のあるエリアで勝負しようとしている。
- オーナー企業で、社長が創業者でもある。株価を上げたい意欲がつよいはず。しかもその社長が経験豊富かつ優秀。20歳から叩き上げで物流事業をやっている。詳細は後述。年齢も、1966年生まれなのでまだ55歳。ここから10年はバリバリやっていけそう。
- ここからそれなりのペースで事業拡大しようとするとM&Aが必須だが、既に何件もM&Aをした経験がある。特に、買ったというだけではなく、軌道に乗るところまでやった経験が多くある模様。
- 北陸エリアの老舗物流企業と言えば、トナミホールディングス( 売上1400億円、政治家も出している綿貫一族が社長)だが、トナミはようやく最近になって3 PLを始めたばかりで、ずっとトラック事業ばかりやっていた。それと比べると、「うちはこれしかやってません」的でではなく、顧客目線でいろいろ考え抜いて事業をやってきている。ちなみに綿貫一族は、創業家でもあり今も社長をやっているが、トナミの大株主としては特に上位にはもう出てこない。(→トナミがオーナーが株主の方を向いているかは割と疑問。時価総額も360億しかない。)
2020/12上場からの株価
公募1000円、初値1479円。
公募116万株 11.6億円
売出35万株 3.5億円
OA26万株 2.6億円
2022/1/7終値1929円。時価総額112億円。PER19くらい。
なんとか1500円くらいで買いたい…
11/12の第三四半期決算がすごく良かったので跳ね上がってしまった。
ちなみに2020年12月のIPOは26社もあるので、需給バランスは非常に悪かったはず。(最近は毎年90社くらいが IPOしてるので月平均7~8社)
叩き上げの創業者オーナー社長
父親の会社が倒産したので20歳でトラック1台で創業したという社長。いろいろ記事を読んでいると、すごくよく考えている人物だと感じられます。
インタビュー記事
ちなみに関通の創業者の達城氏も高卒でゼロからの叩き上げで、超人的に有能な経営者と聞いたことがありますが、年齢は61歳ですし、関通は大阪発。こことの比較感で、経済規模の小さい北陸発で、55歳で上場できていることを考えれば、喜多社長は超優秀な経営者だな〜と改めて感じます。
他社比較からの株価のイメージ
今期の業績予想は、売上200億円、経常利益10億円。時価総額110億円。
同業、3PLでオーナー社長の会社を以下の通り並べてみます。
- SBS 売り上げ4000億円、経常利益200億円。時価総額1400億円。
- 丸和運輸機関 売り上げ1200億円、経常利益80億円。時価総額1900億円。
- 関通 売り上げ100億円、経常利益4億円。時価総額73億円。
1のSBSは超大手で、創業者の鎌田氏もちょっと別格感があるので、この域まで達する事は不可能だと思います。ちなみにSBSは2003年のIPOでは初値時価総額32億なので、株価は43倍になっています。ちなみに、ここの優れた点は、創業者オーナー企業らしい野心的な拡大思考をベースに、M&Aを積極的にやったことと、「物流不動産マーケットで物件価格が爆上がりしている」ことに目をつけて、「自分で物流施設を開発し自分が入居してそれを投資家に売る」と言うデベロッパー的なサイドビジネスを手がけた点です。なんとなく日本電産の永守社長的な雰囲気を感じます。あと、物流業界ってスケールメリットが超重要な産業なので、M&Aがすごく有効に働いたのも勝因と思います。
2の丸和運輸機関は、2014に上場した後、2017年にヤマトが「Amazonの仕事は利益なさすぎるからもうやらない!」となったときに、「うちが全部やります!」と言って引き受け、かつ宅配スタッフを業務委託で調達する(社員と違って社会保険料払わなくても良かったりするので低コストだが、その分クオリティも…?以下略)という資本家としてはとても優れたスキームで爆発的に急成長し、株価はテンバガーも達成した会社ですが、こういう強引なエゲツない拡大方法をビーイング社が取るとは何となく考えにくいので(かつ、ヤマトがアマゾン断るような神風がまたくるかも未知数)、このレベルまでもいくことは難しいような…しかし丸和がSBSより時価総額が高くなってしまってるのは意外でした…
3は最近上場したばかりの会社です。ここはあまり参考にはならないか。
以上の会社との比較感で10年後を予想すると、ハマれば今の5倍、売上1000億円、経常利益50億円くらいまではいけそうな。それが実現した場合は時価総額も成長性の評価をを追い風にして、500~1000億の間にはいそうですが。
そこまで急拡大路線を取らなかったとしても、時価総額3~400億円位の水準には着実に届いていってくれそうな気がします。
首都圏直下型大地震の時に値上がりする株
また縁起でもない話ですが、首都圏直下型大地震が起こってしまった場合、名古屋から東京にかけての太平洋側の物流網は津波等で壊滅的なダメージを受けると思いますが、この会社は北陸を中心にしているので、数年間は支援物資の輸送等で特需が発生し、巨額の利益を得ることができるだろうと思います。