東京のマンション価格はまだまだ上がる

2021/12に「マンションの値段がこれからも上がる理由」という記事を書いていましたが、それから1年半経過しました。結果的には、私の予想記事通り、この1年半で大幅に価格が上昇したと思います。

そしてこの先もまだまだ上がっていくと予想します。

2021/12の記事で挙げた、上がる理由

以下の通りあげていました。

  1. 超低金利
  2. 金利がしばらく上がりそうにない
  3. 超低金利で円安傾向が続くので資材の輸入価格も高止まりし続ける
  4. 今デベロッパーが土地を仕入れている価格が過去よりも高くなってきている
  5. 工事をやる職人が高齢化で人手不足
  6. デベロッパーはアベノミクス以降業績がずっと良かったので恐ろしく内部留保が厚くなり、資金繰り等に全く困っておらず、安く売る理由がない
  7. 世界的低金利や円安傾向を背景に、中国人を始めとして高く買ってくれる外国人がいくらでもいる

それぞれ1年半で何か変化があったかなど、以下にまとめていきます。

金利

上がってないですね。それどころか、変動金利の貸出金利は下がってますね。それでも、日銀の総裁が変わって、いずれ利上げが起こるのではないかと話が出てきています。

しかし、私は以下の理由から、今後数年は、金利が大きく不動産価格を落とすことにはならないと思っています。

  • 急な利上げは日本ではできない。倒産が多く出てしまう。アメリカのように雇用の流動性が高くない日本では、再就職が難しい。社会不安が起こる。
  • 不動産価格が異常に上がり続けていけば、それを止めるために、金利を上げろと言う国民の声が強まる可能性があり、それに応じて金利が上があげられる可能性があるが、まず不動産の高騰が先にくるはず。
  • 日本の多くの金融機関は、大量の国債保有していて、急に利上げをすると、評価損が大きく発生するので、アメリカのシリコンバレー銀行のようなトラブルが起こる懸念がある。
  • 90年代のバブル崩壊の時は、国が総量規制をして不動産へのお金の流れを止めに行ったが、そのレベルの引き締めをしないと、不動産価格は落とせない。そこまでやる程の価格高騰はまだ起きていないように感じられる。
  • 結局のところ、日本は世界最悪の財政赤字国なので、インフレにした方が実質的な借金が目減りして、政府にとって都合が良いため、政府は程々のインフレを容認する。

円安

前回記事の2021/12から、20~30%位円安が進んでますね。これは工事費に悪影響が出ますし、海外の投資家の購買力が上がるので、マンション価格上昇に強く影響すると思います。

土地価格

私は仕事柄よく不動産屋さんとお話をしますが、東京の土地価格は2021/12以降も延々と上がり続けています。上げ止まったと言う話は全く聞きません。デベロッパーからすれば、土地の仕入れ価格が上がっていると、当然マンションの売り出し価格はあげる必要が出てきます。

じゃあなぜ土地の値段が上がっていくかと言うと、買いたい人がいっぱいいるからだと思います。ここ10年の不動産市況が良かったので、不動産業界の人数、会社数も増えているはずで、その人たちがたっぷりここ10年で儲けた「貯金」を持った状態で競争するので、かつ、銀行もたっぷり金を貸してくれるので、今後もしばらくは都内の土地が売りに出たら激しい競争が起こり続けると思います。

建物価格(工事費)

工事費は延々と上がっています。これは円安の影響(材料費の高騰)も多々あると思います。また2024年から建設業界は週休2日が強制になります。この影響で、人件費は大幅に上昇するはずです。

なので、2025~2026竣工物件の原価(土地+建物)は、2021/12の新築物件と比べると30%~50%高いんじゃないかな…

90年代のバブルとの比較

90年代のバブルの頃は、大半の人が「値上がりに期待して不動産を買っていた」と言うことで、今よりもはるかにバブルだったように思います。ナニワ金融道の下のページを見ても、バブル度合いは全然違います。ちなみに私の驚きポイントは、「家賃が年間180万円しか取れないマンション(立地は関西)が8500万円もしたんだ!?」という点です。表面利回り2.1%!今、関西の新築マンションの表面利回りは4~5%位じゃないかなと。しかも金利は5%…

逆に考えると、この先多くの日本人が値上がりに期待感を持ってマンションをイケイケで買うようになれば、マンション価格がもっと「不健全に」上がっていくと思います。政府の強い利上げのタイミングは、そういう時なような気がします。

利上げで本当に住宅価格が下がるのか?

最近すごく面白いTwitter記事を見ました。

https://twitter.com/maryoakleysan/status/1671992394110345218?s=61&t=5QXDdo4yYC9y_E9nZLp6XQ

この投稿によると、アメリカでは利上げによって、住宅ローンの借り換えのハードルが上がってしまい、中古の売り物件が激減した結果、新築のニーズが増え、ホームビルダー会社の業績が絶好調になったと言うことです。

この現象は、日本で利上げをしても一定程度起こる気がします。日本では、細かく調べてはいませんが3割位の人が固定金利で借りているそうで、その人たちが中古の売り出しを避けるようになれば、売り物件が減って、一定値段が上がる方向に働く気がします。

そうすると、もちろん利上げは不動産価格の下落圧力ですが、利上げでは建設人件費は下がりませんし、結局のところトータルではたいして下がらない、あるいは(たいして利上げができないのと合わせ技で)上がり続けると言う展開もあり得ると思います。