2017/12
- のらえもん 湾岸タワーマンションは供給過剰と言われてますが、もともと湾岸は利便性の割には人があまり住んでいなかった土地ですから、供給が需要を生んでいるケース。オリンピック前後に転売目的の中国人が売りに出すんじゃないかとも言われますが、そういう人はほとんどいませんね。利益確定を急ぐ人や高値にチャレンジする人ならともかく、いまは賃貸運用でインカムゲイン狙いで持ち続けている人の方が多い。
- 哲戸 今マンションの値段が高値で動かないのは、売りに出している人はスッ高値で出したまま本気で売る気がないから。いま物件持っている人達ってもうすでに利益がタップリ乗っている人で、リーマンの頃みたいにバンザイした人が放り出した物件とかないし。なので統計でも在庫が高値でダブついて長期化してる感じ。
- かずお でも彼らもそろそろ相場を見始めてる。住宅全体では上がる要素はもうないよね。中古の在庫はだぶついてるし。
- グル ただ、いま作ってるデベ(デベロッパー)は今の高い地価で今後のプロジェクト作ってますからね。さすがに今後売れなくなってちょっと死ぬデベもでてくるかも。
- シュ 奴ら、用地ホテルと仕入れで張り合ってとんでもない値段で買ってますからね。
2020/1
- のらえもん(のら) 新築マンション、ぶっちゃけ売れてないです。サラリーマンの可処分所得に対して高すぎる。少しでも総額を下げるために、(※1)財閥系デベでも60平方メートル台前半3LDKを出すし。さらに50平方メートル台の3LDKまで登場しましたね。
- かずお君(かずお) 超萎えますよ。坪300万円のマンションでも外階段は鉄骨むき出しとか。そもそも、タイル張るマンション少ないよね今。
- お鯛 どうせエレベーターしか使わないでしょ、って。裏が(※2)ALCそのままとか。
- かずお 60平方メートル3LDKだと一部屋は3.8畳の窓のない部屋なの、もう限界。19年に供給された新築マンションって将来黒歴史になるんじゃないかな。
- のら 3.8畳の窓なしって独房としか思えん。
- ――不動産経済研究所が発表した2019年10月の新築マンションの契約率は42.6%で、1975年以来の低水準だそうです。
- かずお 供給がめちゃくちゃ絞られてるし、デベの売り方が以前と変わってるだけなんでそのまま見るわけにはいかないかな。昔は財閥系以外は竣工時には全部売れてないとダメみたいな感覚でしたけど、今は好立地でしか分譲マンションが仕込めず、そういう物件は貴重だから高値で長期間かかっても売る。今は2年くらいかかってもいいか、って感じですよね。
2021/1
- ――コロナ禍で世界が大変なことになった2020年。実需の住宅販売の状況はどうですか?
- はとようすけ(ようすけ):エリアによっては市況死んでます。(※1)反響も10月から著しく減ってて、城北の大手仲介の数店舗で今月来店客数ゼロだって。僕の観測だと買う人の絶対数が著しく減ってる。これから業界で多数離職者が出ると思う。城東もダメ。いい話聞くのは足立区の戸建てくらい。
- あくのふどうさん(あくの):そう?私今湾岸で販売仲介してる物件2つあるんだけど内見めちゃくちゃ入る。8000万円台の物件とかもあるけど。
- N的まにあ(N的):うん、ようすけさんが見てる市場と、湾岸タワーマンションなどの物件と感覚違いますよね。
- のらえもん(のら):東京湾岸は新築タワマンは相変わらず売れてるし、その勢いが今年加速したものもあるよ。4年後入居開始の超大型物件のモデルルームは、オープン当初2カ月は予約困難なほどの人気だった。(※2)「パークタワー勝どき」の抽選販売では1億円を超える部屋の倍率が最大27倍に。平均坪単価420万円のマンションですよ!
- 中古タワーマンションの引き合いも活発です。湾岸はエリートサラリーマン層が多く、転勤による住替えが去年までも多い地域だった。でもコロナで転勤が減り売り物件が顕著に減っちゃった。その一方で成約数は変わってないので中古在庫が枯渇してる。結果コロナ後の方が物件価格は上昇傾向です。びっくりだよね。
2021/3
- ――それにしても湾岸タワマンはコロナでも強いですね、すごく。
のらえもん(のら):いま、湾岸は新築だと8500万円前後出さないと3LDK買えない。
なめ茸@不動産唄人(なめ茸):うへえ。
はとようすけ(はと):無理なんだけど。
のら:3LDKの中古タワーで7000万円前後。6000万円台だと引き合いは超強い。んで、夫年収600万円、妻400万円とかでも30歳の夫婦2人だと7000万円のタワマンを普通に狙えちゃう。この層は下手すりゃ20万円近い家賃払ってるから、購入した方が実際に安くなる。
N的まにあ(N的):賃貸物件でもファミリー向けは一般的なエリアの物件でも家賃は10万台半ば以上からになるからなー。
なめ茸:ファミリー賃貸、貸し手が概ね分譲の買い手だったりしますからね。だから賃料が高い。
ようすけ:600万円と400万円の2人世帯で7000万円の家を買うのはちょっと背伸び感がない?
のら:いや、そうとも限らない。40代で世帯年収1000万円だと厳しいけど、買う時点で2人とも30歳で、旦那が40歳までに900万円まで伸びて、嫁が子ども生まれても会社にしがみついて40歳時700万円までいけば全然余裕、貯金もできる。実際、私の会社でも40代管理職ママ多いし。それに今は女性も子どもが生まれても辞めない。30歳くらいの人たちから話を聞いていると、子ども生まれてから辞めてパートになるとか全く考えていない。女性の正社員化と年収上昇が実需マンションの価格を底上げしていますよね。
どエンド君(どエンド):10年で(※1)リセールがそこから2000万円下がって残債割れるかといったら、そんなことないから破綻はしない気もするなー。
2021/5
いま、緊急事態宣言中じゃなかったっけ?
タワマン販売がいまだに超絶好調な理由
――コロナ禍でしかも緊急事態宣言3回目ですけど、タワマン販売、いま現場の物件の引き合い、成約はどんな感じですか。
のらえもん(のら) めちゃくちゃいいでしょ。
なめ茸 めちゃくちゃ売れています。湾岸タワマンのモデルルームでは、ほとんど広告しなくてもお客がひっきりなしに来て、1週間後はおろか2週間後の来場予約まで埋まっている。年明けからこういう状態が続いてます。湾岸全体が、3LDKで7000万~8000万円で売られてるのが相場。その値段出して買えるところを横並びで東京都内で比べてみると、結局ポテンシャルが優れてる湾岸タワマンが選ばれる、といったところでしょうか。
のら 7000万円で新築タワマンは買えなくなってるよね。
なめ茸 買えない。
――どんな人が買ってるんでしょうか。
なめ茸 いや、ほんと普通のサラリーマンですよ。5年前でこの予算年齢属性だったら5000万~6000万円台を買っていたであろう人が、金利が下がり税制補助があるなどで、7000万~7500万円台を買っていく。タワマンだからというよりも、フラットに板状マンションもタワマンも横並びに、エリアも幅広に検討して買ってる。もっと上のグレードのものだと違うけど、億未満の一般的なサラリーマンが買うタワマンはそんなイメージ。
summer king(サマー) 関西はコロナの影響はプラスもマイナスもほとんどない印象です。東京に関してはコロナ禍で開放的な環境の湾岸の評価が高まって、それで加速した印象ですけど。大阪だとタワマンって中心部にしかないので。とはいえ、大阪はタワマン比率が東京に比べて高いので、梅田界隈は新築、中古ともに動いてますね。
ふじふじ太(ふじ太) 中古もかなり動いてる。私は湾岸の中でも豊洲、東雲、有明、勝どき、とか東海岸専業ですけど、2~3月はえげつない、めちゃくちゃでした。
2023/1
もうすでに勝ち組負け組マンションに
格差がついてきているね
――本日は座談会最終回です、23年の予想にいきましょう。まずは実需から。
なめ茸:多分、もうピークは来ている感じがする。新築に関しては23年が転換期かも。というのは、不動産経済研究所が出してる初月契約率が10月になって4カ月連続で落ちているんですね。現場の肌感で言っても新築モデルルームの物件の明暗がきれいに分かれるようになったと感じる。
コロナ禍のピークの2020年から企画していた物件が、今市場に出てきていてるんですね。高値で企画したけどがんばって売ろう、というものも出てきているけど、そんなにバカ売れしているマンションは多くない。だいたい期待値の8~9割で止まってるのが多い。
当社もよそも、再開発でも大規模でもないマンション、いわゆる普通のマンションはそこまで売れてないですね。ユーザーもどの場所がいいかではなく、同じ価格の中で広域で見比べているので、物件としての地力勝負になっている。会社によっては23年から値付けが変わってくるのでは。あるいは23年に販売がこけて翌年くらいから変わってくるんじゃないかなと予想。中古も新築に引っ張られるので、値段は追随するのではないかと。
のらえもん(のら):実需は買う理由がある人が買うんですよね。住まなきゃいけないから「高いから買わない」を選択するのは難しい。23年は変わらないか、新築に関しては調子に乗ってまだ上げてくるか、だと思ってます。でも、なんとなくの実感ですが、22年10月くらいからブレーキがかかっている気がします。今後は、注目のマンションと注目じゃないマンションではっきり差が出てきてる。広告費用をぶっ込まなくてもガンガン売れる物件と、全然売れない物件の差が出てくる。
なめ茸:超高級レジは外国人に需要があるんだけど、こういう人は一般的な物件を買わないですからね。総額7000万~8000万円の3LDK、坪300万~400万円台の中規模新築マンションが都内近郊にあふれすぎて、みんな目移りしちゃってるので。その中でも引きがあるマンションしか売れなくなり、競争力を失ってる物件は今後つらいことになっていく。
――23年はいよいよ住宅価格上げ止まりになると。
2024/1
「武蔵小杉の再来となった幕張ベイパークタワー、
都心から遠いのにぐんぐん価格が上がってるね」
――今日は実需住宅の状況についてです。景気がいいところとそうでないところがかなり分かれてきているようですね。
すんで埼玉(すんで) 2023年は海浜幕張の大躍進がありましたね! 都心距離を考えるとありえない相場にガンガン上がってて、半分リモートワーク民の聖地みたいになっている。郊外再開発の大成功事例かと思います。
すんで 3棟完成して4棟目が販売間近。6棟目まで控えています。
はと 広めの部屋を探して東京湾岸から転居で行っている人多いのかな。
すんで インターネットがなかったら海浜幕張ここまで注目されてないと思います。リモートワークと、主にブロガーによる情報拡散。2019年くらいから水面下で盛り上がっていたものが、2023年に大衆に支持された感じがします。
はと メイン価格帯はどれぐらいなんですか?
すんで 優良物件は坪300万円超えたと聞きました。「かつては6000万以下で買えた時代があった」みたいな相場になってます。中古でも70平米6000万台は珍しくなくなっています。
かずお すげー。武蔵小杉の再来だ。
――都心物件の買い手に外国人が増えたことも23年の特徴でしたね。一方、不調で動かない物件も増えてきているとか。

高市さんの2024の著書、『国力研究』に出てくる経済政策ブレーン本田悦朗さんの記…