特に目新しい話はなかったが
ビジネスモデルを一通り説明する動画がアップされていた。IRを頑張ってくれていると言うことで評価したい。改めて思ったこととしては…
- この、不動産管理会社の視点でやっている保証会社と言うのは、やはり優位性があるなと思った。この会社の目のつけどころの通りで、まず保証会社を選ぶのは、実質的には賃貸マンションのオーナーではなくて、管理会社であることが多いように思う。なぜなら、その辺の対応は管理会社に丸投げされるので。
- 不動産管理会社と言うのは、入居者の募集(仲介会社とのコミニケーションなど)、入居者入居時の契約書等の対応、家賃受取、修繕、清掃、法定点検、入居者の退去対応(現状回復、敷金の返還)、オーナーへの業績報告(&送金)あたりがルーティンの業務になり、ごくまれにイレギュラー事象として、家賃滞納者への対応が発生する。これが非常にめんどくさい。弁護士に相談したりする必要があるし、そもそも色々と難しいし(ある意味修羅場である)、各担当者もそこまで慣れていないので、専門業者に外注するメリットは非常に大きい。
- また、この会社の商品は、管理会社に旨みのある設計になっているように思う。初期費用と更新費用の収入に占める割合が非常に大きいが、おそらくここから、管理会社に対して手続き手数料を渡していると思う。これってある意味キックバックである。管理会社がどうすれば嬉しいか、どうすれば実質的な選定権限者である管理会社から選んでもらえるかをよく理解したサービス設計になっている。とても賢い。
- これは要は代理店営業型のビジネスモデルであり、見方によっては、「うまい具合に誰か(最終的な・本来の受益者)を損させて、当事者が利益を伸ばす」と言うのが、成功の鍵であることが多いように思う。
- 最もえげつない代理店営業の業界で例を挙げる。ここ数年著しく成長している業界、生命保険の代理店営業。ここであれば、もともと日系の生命保険会社とかから超絶ぼったくりの商品を買わされている個人(当然リテラシーは極めて低い上客である)に対して、程々ぼったくり程度の他の商品(補償内容は同じなのに保険料が安い)に切り替えさせることで、浮いた分のお金を一定分け前をもらうと言うビジネスモデルになっているが、ここで起こっている事は、加入者の個人の大損を少しだけリカバリーしつつ(その個人は往々にして劇的に節約できたと無邪気に喜んでいる)、最初にボロ儲けした日系保険会社の将来の利益を横取りして、保険代理店と次の保険会社が儲けると言う構造になっている。
- ちなみにショッピングモールに店舗を構えているような保険代理店のビジネスモデルは全てこういう感じである。日系生保がこの20年ぐらいずっと強く敵視しているプレイヤーである(せっかく生保レディーが個人を騙してインチキ商品を売りつけてきたのに、その利益を横取りされるので)。とても儲かるので、上場して成功しているような会社もある。
- 賃貸マンションのオーナーと言うのは、プロアマを問わず頭の切れる(騙せない)人間もごく稀に存在するものの、基本的に管理会社に求める事は、丸投げできて自分が何もしなくていいことなので、シェアを拡大できる有能な管理会社と言うのは、オーナーから見えないように儲ける機会を常に狙っている。そうした管理会社にメリットを示して提案していけば、保証会社のシェアも拡大できる。これはとてもシンプルでシャープな着眼点だと思う。
- しかしまぁ、例えば大企業に対して、対して役にも立たない商品を提案して売り込む仕事だって、広い意味では代理店営業だと思う。大企業の従業員が「代理店」で、彼らに「私たちはちゃんと仕事しています!」と主張できるだけのネタやエビデンスを株主の金で買わせる商売(実際には砂漠に水を撒くような仕事しかしていない)。研修ビジネスとか。
そういや、2024/9の業績予想が
不思議と変わらない(もっと強気に修正しても良いはずなのに。)理由は、IRに聞くのを忘れていたけれど、おそらくはこの会社が「ちゃんとしている」からだろう。理由はそれだけだと思う。つまり、まともな会社は上場タイミングにバラ色の業績予想出して、その直後から下方修正などできない。やらない。最近とてもまともではない会社が大騒ぎしているのを見て、改めて思った。(その会社のお金おかげでちょっと小銭稼げてラッキーだったけど)(というか、あそこの主幹事証券会社どうなってんだ?)