清原チェックリスト
これに沿って、京都ホテルを考えたいと思います。
- 大企業の下請け的な仕事をしていて「価格決定力」がない
- 参入障壁が低い
- 優秀な人材がいない
- オーナー経営者の息子(次期社長)がバカである
- 世の中の関心が薄いため経営者が不祥事を起こしやすい
- TOBしにくい株主構成になっているので経営者が堕落しやすい
- 粉飾決算があった時にダメージが大きい
- 海外に進出するだけのリソースがない
- 株を相続する時のために(相続税を安くするために)、できるだけ株価は安いほうがいいとオーナー社長が思っている
- オーナー社長が引退する時に莫大な退職慰労金が支払われることがある
清原リストに沿って検討
- 超良い場所のホテルをやっているので、価格決定力はある。
- 参入障壁は高い。こんないいとこの物件なかなか買えないから。
- 人材については、京都市内ではトップクラスのホテルなので、相対的に良い人が集まっているだろうと思われる。
- オーナー社長の息子が馬鹿であるかと言うと、そもそもここはオーナー企業ではないので関係ない。
- ここの経営者は不祥事起こせないと思う。京都の超陰湿な村社会でやっているビジネスなので。
- これはあるかも。大倉が大株主で守ってくれているので。
- 粉飾決算はしないと思う。サラリーマン経営者なので、そういうところで頑張らないと思う。
- 海外に進出するリソースというか、事業拡大の意欲はそこまでないような気もする。でも、京都市内で今のくそ高い物件価格で新規出店は正直してほしくない。失敗するじゃん。
- オーナー社長がいないので関係ない
- 同上
やっぱり、物足りない点は、オーナー企業でないこと、新規のホテル出店があまり期待できない(事業拡大が期待できない)というところだろうか。まぁ後者については、コロナで借金増やしてしまったし、まずはそこを着実に返してから考えたら良いような気もする。
インフレヘッジ
この銘柄って以下の点でインフレに結構勝てるレアな銘柄だと思うんですよね。
- 不動産のアセットタイプの中で、最もインフレに強いのは「ホテル」である。宿泊料金は、借地借家法による賃料引き上げ妨害の影響受けず、都度、時価の収入が入ってくるため。特に、当たり前の話だが円安局面で強い。
- 京都の中心部の好立地のホテルなので、日本国内のホテルの中でもトップクラスにインフレに強いホテルのはず。
- コロナのせいもあって借金をものすごくたくさんしている。この事は株価に減価要因として反映していると考える。しかし借金はインフレで目減りしていくので、今後ガンガンインフレになると信じる私の目には、株価は過剰に低く抑えられているように見えている。こないだ記事を書いたインフレの本によれば「インフレは、債権者が罰を受ける一方で、債務者が得をするメカニズムである」。
- ホテルオークラの後ろ盾があるので、たくさん借金をしていても、絶対に銀行から見捨てられないはず。(まぁそもそも上場していて、アフターコロナで安定的に黒字だせそうな会社を潰す銀行は存在しないとは思うが)
このへん、同じようなイメージで言うと、ハイエンド向けの商品を扱っていて、借金の多い会社を探せば、インフレに勝てそうって言えるんだろうか。どこかなー。
不動産の評価
有価証券報告書の設備のページに以下の記載。
ホテルオークラ京都の簿価が110億円で計上されている。ほぼこれですね。部屋数は320で、レストランが3つ、宴会場も付いている。評価が難しいですね。
例えば1部屋7000万円の価値があるとして(*)320をかけると、224億円。それに宴会場とレストランを加えて、ざっと300億円とかでしょうか。いや、宴会場の売り上げは客室の売り上げと変わらない位あるから、全体で400億円位の価値があるのかも。
(*)ブルームバーグの記事によれば、ここよりはるかに立地・仕様で劣るホテルで1部屋5000万円ちょいで取引されたということ。80億、158部屋。
あるいは、敷地が2200坪あるので、坪単価1000万なら220億円、それに建物がついてと考えると、やはりざっくりと300億円位なんでしょうか。
また、からすま京都ホテルのほうは、賃貸借契約について「更新」と言うワードがあるので、おそらく普通借家契約をしている。これは借りる側有利ですね。借地借家法に守られているから追い出せないし、ドラスティックな家賃値上げも要求しにくい。特にインフレの時代には。ある意味、無形の資産ですよね。
上記のような資産があるのに対して、バランスシート上の負債は145億円なので、まぁ時価総額の94億円と言うのは、割安と評価して良いんではないでしょうか。
2024年度の業績予想
第3四半期の業績(売上27億、営業利益5億)も参考に、以下の上ぶれ要素にも期待すると、売上100億、営業利益20億位行くんじゃない。
- 2023年度よりも2024年度の方が海外観光客の人数は大幅増加すると予想されている(2520→3310万人。なお2019は3188万人。
- コロナ直前でインバウンドが過去最高に来ていた2019年はドル円で110円位。その頃よりは、ホテル料金は大幅に上げられるはず。また、2023年よりも2024年はさらに円安が進むような気もする。2023年はドル円平均で140円位。
- 上記のことも背景に、2023年度よりもさらに客室単価を上げに行くのではないか
- スタッフの採用を進めて、稼働率をもう少し上げに行けるのではないか。スタッフの採用を増やせると思う。なぜなら、給料を高く出せる分、介護業界とかから流れてくると思われるので。もちろんホテル業界での人の場合もあるが、京都の若者がどこで働きたいか考えたときに、特に保守的な人ほど、こういう老舗のホテルで働きたがる気がする。
- 2023年度と違って、完全にコロナ終了感があるので、宴会場の需要もいっそう伸びるのではないか。
- 2023年に海外旅行解禁されて日本人もまあまあ海外に遊びに行ったが、円安+インフレで物価の高さに絶望したので、今年は国内旅行が増えるのではないか。
ホテルオークラ京都の予約状況
楽天トラベルで調べたら、下のカレンダー画像のような予約状況。ちなみにこれは一番部屋数の多い(221部屋)ツインルームの朝食付プラン。私はホテルのプライシングのプロではないのでよくわからないが、もうちょっと高く値付けしてもいいような気もしたり。だってツインルーム221部屋あって、5月とかほとんど残り1桁か満室なわけでしょう。この辺、オーナー企業ではない弱さというか、アパホテルみたいなガツガツさを見習って欲しいなぁ。