京都ホテル(9723)

概要

  • 京都市役所の隣のホテルオークラ京都を所有・経営している会社。あとは烏丸通りのほうに修学旅行生向けのホテルもやっている(こちらは借りている)。
  • コロナで悲惨な業績になっていたが、最近インバウンドが復活してきたこともあり、業績に改善が見られる。
  • コロナでお金がなくなって、京都では有名な「粟田山荘」と言うものすごく立派な庭園付きの料亭を売却していたので、その時に1度会社を調べたことがあった。倒産するんじゃないかと言う位赤字が積み重なっていて、にもかかわらず、株価は500円から600円位をウロウロしていたので、まぁ買う事は無いなー(割高すぎるだろー)と思った記憶。

第3四半期決算(2023/10~12月)がすごく良い

以下の通り、売上で27億円、営業利益で5億円程度出ている。時価総額が94億円の会社にしては、かなりいい数字じゃん。

いいと思う点

  • オーナー企業ではないが、京都でトップクラスのホテルを所有していて、運営していればいいだけなので、そこまで経営者が有能でなくても回っていくビジネスをしている。
  • 周知の通り京都はインバウンド観光客で溢れており、ホテルの宿泊料がどんどん上がっているとニュースをよく見る。この会社の売り上げ向上に直結する話。
  • 京都で2件のホテルを運営しているだけと言うシンプルなビジネス。
  • 業績予想は過剰に保守的に出している。上方修正はほぼ間違いなく出る。もちろんそれ株価に織り込み済みでしょと言う見方(反論)がありえるものの、出るは出る。…はず。
  • もし今回の四半期の営業利益5億円を継続できるなら、年間20億円。当期純利益で12億円程度。これに対して、時価総額94億円は、PERで7.8。割安ではないだろうか。ちなみにこの物件が不動産マーケットで取引されるとすると、キャップレートは3パー位になると思われるが、それってある意味PER33っていうことですよね。(この考え方は、株と不動産の要求利回りを一緒に考えることはできないという意味で、乱暴?なんですけれど、昔倉庫会社の分析をしたときに同じような考え方をしていて、結果的に倉庫会社の株はどれもガンガン上がっていったので、大きくは外してない見方なのでは、と思ったりしてます。)

割安なのか?なぜ?

本当に割安なのか、それとも私が割安と勘違いしているだけなのか(この考え方は常に大切かと)。で、前者である!と私が考える理由は以下の通り。

  • 東証スタンダードに上場しているので、あまり注目されていないから放置されている。出来高もめちゃくちゃ少ない。こんなん機関投資家は買えない。
  • 2月の第3四半期決算と同時に出した上方修正が激弱(というか、第4四半期は売上21億で1.3億の営業“赤字”という前提になっている)なので、何か悪い情報がこの先最後の四半期決算で出てくるのではないかと言う不安を個人投資家たちが持ってしまっているのではないか。ちなみに第4四半期は閑散期の1月が含まれるので、第3四半期ほどは良くならないと思うものの、さすがに第二四半期ほどひどくはならないと思う。
  • 第3四半期決算だけが異常値で単発で良かったのではないかと、みんな思ってるんではないだろうか。ちなみに、訪日観光客の人数を調べた政府の資料を見たら、2019年との比較で言うと、2023年が上回り始めたのは、10月位から。9月以前は2019年に全然負けている。なので、第二四半期まで数字が悪いのは、日本全体の傾向と同じだし、2024年4月現在で、訪日観光客の人数が減速・息切れしている雰囲気は全く見られないので、この先しばらく第3四半期の「営業利益5億円の勢い」は続くのではないか。
  • ちなみにこの会社の業績要素はめっちゃ保守的であると本人も認めている感がある。それは以下の第一四半期決算(2023年8月発表)の記載から感じた。

第二四半期が悪いのはなぜ?

  • 売上げ19億円しか上がっていないという点は第一四半期の23億円と、第3四半期の27億円より明らかに弱い。なぜか?
  • で、ここは私の推測ですが、やはり京都は4月の桜の時期は大人気だし、日本国内の観光客も山ほどやってくる。また、11月の紅葉から12月の年末にかけての季節も大人気なので、単純に季節要因で夏が相対的に弱いものと考えられる。

バラ色の想定

ホテルの利益構造について以前にいろいろ調べたことがあるんですが、損益分岐点を超えてしまうと、一気に利益が伸びていく構造なんですよね(逆に言うと、分岐点を下回るとマジで悲惨なことになる。)。今年度の四半期毎でも、売り上げと営業利益は以下の通りになってます。

 売上  営業利益

(1) 23億 3億

(2) 19億 ゼロ

(3) 27億 5億

これ、めっちゃ適当に考えると、例えば売り上げが30億超えていけば、営業利益7億位ありえると思うんですよね。で、最近どこのホテルもインフレ慣れしてきたというか、宿泊料金ガンガン上げてるので、ワンチャン年平均でそこまでいく展開あると思うんです。もしそうなったとき、営業利益7億円が4回続いたら28億円。税金引いた後の当期純利益は17億。そしてそこにPER30とかの激甘バリエーションの波が来たら、時価総額510億円。今の5倍ですね!

ちなみに、ホテル事業が損益分岐点を超えてしまえば、利益がまぁまぁ激しい角度で急上昇していくと言う事は、この銘柄の板の従来の参加者(個人投資家達)はあんまり知らない人が多いんではないかと。とすると、利益の急上昇はみんなにサプライズとなるんではないだろうかと。

とはいえ

悪い方向に行ってしまった場合、損益分岐点を下回った時は、多分悲惨なんですよねー、ここ。まだいろいろ不安なので、もうちょっと過去の決算資料とかを見て、この会社の事業構造とかを丁寧に調べていきたいと思います。