テンバガー株の探し方② 150億投資家片山晃

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片山晃氏の手法

下のYouTubeで井村俊哉氏からインタビューを受ける形で、片山晃氏の投資方法がまとめられています。この動画は三話に分かれていますが、私は70回ぐらい見た気がします。

最近は、井村俊哉氏の方が圧倒的にホットな有名人な感じがしますが、私個人的には、片山氏の方が考え方も柔軟だし、とても謙虚だし、話す中身も納得的だと感じます。

どういう株をどう買えばいいのか?

片山氏の考え方は、私の理解ではざっくりと以下の通りです。

  • 利益の成長が期待できるだけでなく、バリエーションの改善(PERの上昇)によって、株価の上昇を見込める銘柄。
  • ダウンサイドリスクが限定されていると考えられる銘柄。
  • 本当に良いと確信できる銘柄が見つかったら、後から後悔しないように、思い切って投資資金の大半を振り分ける。

利益の成長が期待できるだけでなく、バリエーションの改善(PERの上昇)によって、株価の上昇を見込める銘柄

これは、長期に大化けする銘柄の共通点が、「売上は2倍位にしかなっていないのに、利益が5~10倍になり(利益率の改善が発生)、バリエーションの改善(PERの上昇) が3倍ぐらい効いてきて、掛け算で30倍になるような銘柄」「地味な会社は、ずっとPER 8倍位のままだったりする(からイマイチ)」と言う、片山氏の経験則からのコメントです。

まず、こういう現象は、震災後のどん底で入れた場合は結構起こったんだろうと思います。マーケット全体が加熱しているタイミングではなかなか難しい気がします。

と思いつつも、こういう銘柄を探すとしたら、やはり現時点で注目度の低い銘柄に行くことになるとは思います。そうした銘柄が、ホールドしている間に利益が上昇していき、見直されるのを待つと言う事かと思います。

ちなみに片山氏は、過去に自信のある銘柄をホールドしているときに、2ちゃんねるの投資板で、「お前らがなんと言おうが、俺の持ってる銘柄絶対上がるから、今に見てろよ!」的に喧嘩することが多かったそうです。確信があっても、実際に上がるまではストレスも多かったのでしょう。

利益率の改善とバリエーションの見直しは直結するか?

利益率の改善が発生する銘柄が挙げられていますが、これが必ずしもバリエーションの見直しに直結しないのが興味深い点ですね。十分条件ではなくて必要条件かと思います。

実例を上げると、例えばオープンハウスは2013年に上場してから株価は10倍になっていますが、利益が10倍になっていて、PER 8倍位のまま延々と変わっていない中でのテンバガーです。この要因はいろいろあるのでしょうが、要はこの会社が人気化しないと言うことなので、機関投資家の中の人が社内でプッシュしにくいビジネスモデルであったり、個人投資家が、まぁまぁネガティブなイメージを持っていたり、その辺がポイントだ気がします。

この辺はまた今度考察したいなと。

ダウンサイドリスクが限定されていると考えられる銘柄

これは例えば、マーケットからバリュー株としか見られていないレベルでの低いPERで値付けされてしまっているグロース株を見つけるとか、そういうことです。

悪い決算が出てもたいして下がらない、しくじっても知れている、とコメントされてます。

もしそういう銘柄を見つけられたとしたら、例えば、自分なりのシナリオで、「マーケット次第では最悪半値になる可能性はあるけれど、5倍になる可能性がそこそこある」などと考えられた時は、期待値は大幅にプラスと割り切って考えて、買って放置してると言うのは、理屈上は良い戦略だと思います。(ただしメンタル的には、そこそこ下に行ったときに、かなりイライラする事は受け入れるしかないとは思いますが)

本当に良いと確信できる銘柄が見つかったら、後から後悔しないように、思い切って投資資金の大半を振り分ける。

片山氏はこのやり方で10億を10倍にして超有名人になった経緯があります。その時の銘柄は日本ライフラインで、片山氏のアイディアの集大成と思えた投資機会だったそうです。

以上にまとめた以外でも、以下、片山氏のコメントで気になったやつをいくつかピックアップします。

「バリューの人たちは、成長を期待していないから上がったら売る」

これは日本ライフラインをホールドしていた時に感じていた事のようです。片山氏のシナリオは、(当然に他の投資家とは違って) 持続的に高い成長率が続くだろうと言うものでしたが、他の投資家は、この成長は一時的なものだろうと信じ込んでいるので、いい決算が出ても、そこで利益確定してしまう。多数派がそういうマインドの段階では、いい決算が出ても株価がなかなか伸びていかず、ストレスを感じていたようです。

つまり、高い利益成長が継続的に起こるまでは、多数派のマインドの切り替えが起らず、つまりバリエーションの見直しは発生しないことになりますね。

「時代、時代に新しいものがあるから、先に気づかないと」

多くの個人投資家がよく勉強しているので、当時の日本ライフラインのようなパターンのチャンスがある銘柄はもうなくなっていて、最近だったらsaas銘柄とか、そういう新しいものを見つけていかないと勝てない。セリアも昔は成長しているのにPER5〜6倍で、その後気づかれて、機関投資家に大人気になって、PERが30倍とかになった。

→確かに今、当時の日本ライフラインやセリアがマーケットにあれば、PERはかなり高くなっていると思います。(気づかれるので)

手仕舞いのタイミングは…

あまり歯切れが良くない。自分のシナリオよりは上振れしたら売る、ダウンサイドの方が大きいような気がしたときに売る、ということだけ言っている。やはり売るタイミングというのは難しいのだと思います。