最近、モノタロウをいろいろ調べていて、やはりアルファパーチェスと似たところが多いなーと思ったのでまとめてみます。
MRO事業
ともにMRO事業を主業としてやっています。というか、モノタロウの会社名の由来がMROです。
MonotaROの社名には、1) M・R・Oの大文字が、Maintenance, Repair & Operationsの略で、間接商材を表しており、2) 欲しい商品がすべて手に入る“モノが足りる”という意味合いの語呂合わせ、3) 納期や商品価格が不透明な間接資材業界の昔からの慣習という鬼を退治する桃太郎にかけている、という3つの由来があります。
既存顧客の売上が徐々に伸びていく構造
モノタロウは以下の通り、過去に獲得した顧客の売上が毎年10%位?伸びているようです。そしてアルファパーチェスの説明によれば同様の現象があるようです。アルファパーチェスでは成長率が何%なのかを知りたいところですが、今のところ私は見つけられていません。多分まだ説明されていないのではないかと思います。
ちなみに、もしアルファパーチェスも同じように成長率が10%程度あった場合、解約率はほぼゼロのはずなので、今後の売上・利益成長率は新規顧客獲得がゼロでも10%以上確保できるはずですが。というか、その比率はIR上はかなり重要なポイントだと思いますが、もしどこでも説明していないとしたら、やはりこの会社のIRってひどいなと…(普通にあり得るから怖い)
従業員数、商品点数など
モノタロウの概要は以下の画像の通りです。
商品点数で言うと、アルファパーチェスは6000万点ほどあるはずですが、モノタロウは1900万点なので、3倍位になります。というか、そもそもアルファパーチェスのプラットホームでモノタロウの商品は全て買えるので、裏を返せば、モノタロウ以外のサプライヤーの商品が4000万点ほどあると言うことですね。
従業員数は、モノタロウが3259人に対して、アルファパーチェスは252人しかいません。もちろん、企業規模が全然違いますが、やはり物流センターを抱えているかいないかで、歴然と差が出ていると思います。
モノタロウは、市場規模を5~10兆円と想定しています。その一方で、アルファパーチェスは、市場規模を1兆円と想定しています。中小企業向けマーケットの方が、大企業向けマーケットより5倍以上大きいんですね。やはり零細企業が多い産業なんでしょうかね。
モノタロウの時価総額は8750億円位。アルファパーチェスは100億円位です。約87倍の差がありますね。
モノタロウの売上は2022年度で2260億円。営業利益で262億円です。超優良企業ですね。一方で、アルファパーチェスの売り上げは440億、営業利益10億円位です。収支構造が結構違うので単純比較はできませんが、少なくとも、両者ともに潜在的市場規模に対してまだまだ伸びしろを残していると評価していいと思います。ちなみに営業利益の差は約26倍ですね。
PERで比べると、2022年度の実績EPSベースで、モノタロウがEPS37.55で株価1745円だからPER46.5。アルファパーチェスがEPS83.5で株価1091円だから、13.1。これは強烈な差ですね。事業リスクは明らかにアルファパーチェスの方が低いんですが。なぜなら、倉庫などの設備投資も全然しておらず、雇用も少なく抑えられているため。一方で、期待成長率は大差ない気がしますが。
顧客層は大体同じっぽいですね。まあそらそうか、MROなんだから。
モノタロウが挫折したビジネス?
社長が語るMonotaRO創業ストーリーという記事があったので読んでいたのですが、以下の記載が、まさに今のアルファパーチェス的なビジネスをやろうとして、挫折したということのようです。アルファパーチェスの創業は2000年頃なので、まさにかぶっていたことになります。多田社長の説明によれば、2000年当時は1日の売上が2万円位しかなかったと言うことで、そこから諦めずに売り上げを450億位まで育てたアルファパーチェスは改めてすごいなと感じました。
やれることは何でもやろう
プロジェクトチーム5名で事業を開始し、顧客は住友グループ企業を含む大手企業40社に絞り、大企業向けの購買システムを構築するところから始める。創業当時、間接資材はカタログ注文が主流で、電子カタログがなく、「最初にしたことは、学生のアルバイトを雇い、何十人もの人で30万点、3000ページに及ぶ商品カタログ情報をエクセルに入力する、商品ごとに電子カタログを作る作業だった。」 と鈴木は振り返る。
サイトで商品を買えるようにするためのシステム開発、仕入先探しなど、事業実現のために邁進するが、MonotaROのビジネスモデルが業界で認めてもらえず、仕入れをさせてもらえないという業界の逆風もあった。苦難を乗り越え商品を販売できる体制が整い、サイトが稼働できるようになったのは、2001年春ごろ。創業前の準備期間も含め立ち上げに1年を要し、怒涛の日々が続いた。
しかし、大企業向けに購買システムを提供するというビジネスは、1年経っても売上は増えず、赤字を積み重ねて失敗に終わる。最初のシステムはインターネット黎明期当時ならではで、インターネットの回線が遅い、データベースの性能も悪い、商品を検索しようとしても、とにかく遅い。それに加え、取扱商品点数は30万点と少なく、欲しい商品がない、値段も高い。しかも当初は在庫を持たないビジネスモデルであったため、いつ届くかわからないといった課題があり、どの企業にも使ってもらえなかった。
当初考えていたビジネスプランは失敗に終わったが、落ち込んでいる暇はなかった。どうやったら生き延びられるかを考え、「藁にもすがるのがベンチャーで、できることは何でもやる。“やれることは何でもやろう”という思いで中小企業向けに紙カタログを送ることを始めた。」 大企業だけでなく、新たに中小企業向けにもワンプライスで商品を販売するサイトを作り、DMでカタログを送り顧客を獲得するというビジネスモデルに転換する。しかし、これもうまくいかない。「最初に発行した紙カタログは7000点の商品を掲載していたが、情報量が多すぎた。お客様は何を買ったら良いか分からなかった。」 そこで紙カタログではなく、チラシを送る形にマイナーチェンジしたところ、これがヒットした。チラシはコストが低く、かつ直接注文に繋がった。「チラシをDMでやったらうまく行って、ガンガンやった。売上が月1億円になるころに、一か八かではないが、2カ月で1億円くらいのマーケティングコストをかけていた(笑)」 2002年から2003年にかけて、チラシを送り、顧客を獲得し続けることで、徐々に顧客がついてきた。顧客の増加に伴い、売れ筋商品が分かるようになる。そして、取扱商品点数を増やし、新しい顧客を獲得し、売り上げが増加するというビジネスサイクルが回り始める。またこの時期に、大量の注文に対応するため大阪物流センターを開設する。
以下の通り、断念した理由が列挙されていますが、現時点では全て解消されているように思います。
- ビジネスモデルが業界で認めてもらえず、仕入れをさせてもらえないという業界の逆風もあった。
- インターネットの回線が遅い、データベースの性能も悪い、商品を検索しようとしても、とにかく遅い。
- 取扱商品点数は30万点と少なく、欲しい商品がない、値段も高い。
- 在庫を持たないビジネスモデルであったため、いつ届くかわからない。
ROIC(投下資本利益率)
ROICは最近ROAやROEより重視されている指標です。ここでは詳細説明を省きます。
モノタロウは以下の通り20%台前半で推移しています。
一方で、アルファパーチェスは34.5%程度です(ホリスティックレポート調べ)。自前の物流センターも必要なく、在庫も持たない、仕入先にはゆっくりお金を払いつつ購入先には早くお金を払ってもらう、このビジネスモデルが、この非常に高い数値につながっているようです。
ちなみに、この数字がどれぐらい高いかと言うと、日本企業のROICのランキングは以下の通りです。ちなみにソースは四季報のホームページです。
https://shikiho.toyokeizai.net/news/0/326410
ちなみにアルファパーチェスのPERは上で記載した通り、3/13終値ベースで13です。上の表に入れるとほぼドベですね。