今回は会社の事業内容自体は細かく見ていません。親子上場解消TOB狙いネタです。
何の会社か?
四季報によれば以下の通り。
- ビックカメラ傘下(ビックの株式保有比率61%)の無料BS放送局。アニメや韓国ドラマ、競馬、通販に強み。傘下に出版社も。
- 主力のテレビ広告事業は、15周年記念特番を含めて堅調。ただしネット配信事業を含めた新しい番組の制作費や、スタジオ設備の更新による償却費用が膨らんで、連続営業減益となっている。また、株主優待制度の廃止(2022/7/26)に伴い配当を増やしている。
多分高齢者向けにテレビショッピングで利益率のクソ高い商品を売りつけるビジネスモデルなのだと思います。高齢化が進むことを背景に、それなりに成長が期待できそうな雰囲気です(競争も激しそうですが、マーケット規模は安定的に拡大しそう)。商品はビックカメラが調達すれば良いわけですから、事業間のシナジーもあります。
上に記載の株主優待の廃止から、株価は下落。1000円以上で推移していたのが一気に900円割れ。率にして10~15%下げてます。ちなみに配当は1株あたり6円あげるそうですが、元々の株主優待は1株当たり30円相当(ビックカメラの商品券)あったので、個人投資家からすれば改悪です。
親子上場を解消しないかと期待
ここはビックカメラが61%の株を保有するいわゆる親子上場の会社です。時価総額160億円位ですから、その40%だと64億円位。それにプレミアを載せても、100億円位でTOBできてしまう規模感です。ビックカメラの時価総額は2300億円位ですから、大した規模感ではないと思います。なおビックカメラはもう一つ親子上場させている会社、コジマがあります。コジマは時間総額が430億円位あり、ビックの持ち分比率は50%なので、TOBするには300億円ぐらい必要になりそうです。
ちなみにこの会社は2014年にビックカメラにより子会社分割上場させられ、当時の公募価格が1800円(2分割を実施する前)なので、当時の公募価格にほぼ戻った株価といえます。このタイミングで親子上場解消のIPOをかけたら、ビックカメラはクソ親会社と叩かれるだろうとは思います。
業績は良好、金は貯めまくり
会社の業績自体は、以下の通り安定的に成長基調で推移しており、またPER・PBRの観点からも特に割高ではないので、そんなに悪くない会社だと思います。バランスシートはとても健全で、自己資本比率は89%もあります。現金が145億あって、不動産が60億位(しかも御茶ノ水駅近くで敷地500坪の本社ビルですから多分含み益たっぷり)あります。一方で負債は25億円しかありません。こんな会社が時価総額160億円です。ちなみに自社株買いは全くやっていません。
やはり親子上場を解消しようとしているのではないか
うがった見方をすれば、上で挙げた四季報の記載の中の「ただしネット配信事業を含めた新しい番組の制作費や、スタジオ設備の更新による償却費用が膨らんで、連続営業減益となっている。」と言う点については、親子上場に備えて利益を圧縮しておくために恣意的に会社が行った可能性もあると思います。
1/11に親会社のビックカメラが第一四半期決算を発表しましたが、もしかするとこのタイミングで親子上場会社のTOBを発表するかもと思っていましたが、しませんでした。次の四半期決算位に来ないかな…
配当利回りで3%位あり、そのうち親子上場解消のTOBでプレミアムが30から50%程度つくだろうと思うと、余っているキャッシュがあるのなら、多少買っておいても良い銘柄かもしれません。指標的な割安さや、ビックカメラがこの先「株主優待廃止による株価下げ」のような小細工をする余地も特に残っていなそうなことからも、これ以上株価が下に行くリスクはそこまで大きくないようにも思いますし。あと、ビックカメラからしても、2014年からずっと黒字で、その利益を蓄積できてきた会社なので、それを当時と大差ない価格で買い戻せるのなら、とてもおいしい取引になると思います。