エスライン(9079)②山口社長がMBOしようと思った理由

(2024/6/24 公開に変更)

まあまあ本音感ある「理由」

5月15日に公表された資料の6ページ目あたりから理由を書いてます。なんとなく以下のような感じ。本音感がたまに垣間見える。まぁまぁツッコミどころが多いw

  • 1914年に岐阜で山口家により創業された当社は、戦争なども経験しながらも着実に発展し、1978年に名古屋市場に上場し、2017年に東証2部、2018年に東証1部に上場した。
  • 今の山口社長は、物流の2024年問題の対応の必要性が明らかになった2022年12月下旬から、当社の中長期的な企業価値向上について考え始め、人材不足対応や従業員の待遇改善が急務となるだろうこと、また、地政学的な問題、急激な円安に伴う燃料費高騰といったいろいろな問題の中で、抜本的な事業構造改革が必要だと認識した。
  • しかし山口社長は、事業構造改革のためには色々先行投資などが必要となり、短期的には収益やキャッシュフローの悪化が懸念されるので、短期的な成績をやたらとコミットさせられてしまう上場企業である限りは、資本市場から妥当な評価が得られず株価が無闇に下落してしまって、少数株主の皆さんに不利益を与えてしまう懸念もあると考える。
  • また、当社は資金調達には困っておらず、知名度や取引先からの信用力も高いので、上場を維持していく必要性は相対的に低下している。
  • また、山口社長は、近年のコーポレートガバナンス強化の流れ、資本市場に対する規制強化等により、ステークホルダーへの情報開示のための対応事項が増加傾向で上場コストが上がっているとも考える。
  • 以上のような検討を踏まえて、山口社長は、上場維持していると、短期的な利益悪化で株価が下落したり、上場維持基準への抵触が起こったりすることで、少数株主の皆さんが売却機会を失ってしまうリスクがあるから、そのあたりを回避でき、かつ長期的な視点で事業構造の改革をするための体制を構築するためには、MBOをすることが最も有効な方策と考えました。

→少数株主から安く買い上げるんではなくて、むしろ助けてやると言う事ですね!

交渉プロセスの記録

買い手も売り手も当然山口社長が(実質的)決定権者なのでめっちゃプロレス感あるんですけどw、以下のような流れだったようです。

  • 2024年3月19日、山口社長と青木取締役は、会社側の立場(売り手)での検討主体として特別委員会を設置。なお青木取締役は、公開買付者の出資者(買い手)にはならない。
  • 2024年4月以降、山口社長は、公開買い付け者の立場として、特別委員会に対し、公開買い付け価格のオファーを開始。
  • 第1回目は、その時点の株価にプレミアムを37%程度つけて1200円を提示。しかし特別委員会で検討した結果、少数株主の利益に充分配慮された株価とは言えないとの結論となり、再提案することとなった。
  • その次に山口社長は1320円で再提案した。しかし前回同様の理由で特別委員会から再提案を求められた。
  • その後4月30日に山口社長は1400円で再提案した。しかし、特別委員会から同じ理由で再提案を求められた。
  • 5月7日に山口社長は1455円で再提案した。特別委員会の回答は、この金額は少数株主に一定程度配慮されていると評価できるものの、過去の株価やPBRにも配慮が必要であるとの認識に基づいて再提案するよう意見が出された。
  • 5月13日に山口社長は最終提案として1460円で再提案。翌日特別委員会より応諾する旨の回答を受けた。

→最後に、PBR配慮…5円!のところが笑えますね。ちなみに5/10からインサイダー臭い爆上げが始まるので、この辺で漏れたんでしょうね。

会社側として OKした理由

以下の通りだそうです。

  • 公平性のために、山口社長と青木取締役と当社から独立したアドバイザーとして、弁護士や会計士を選任し、特別委員会を作りました。その人たちが妥当と言ってくれました。
  • ちなみに2023年11に出した下方修正は、株価を故意に落とそうとした意図はありません。この時はMBOを考えてませんでしたので。
  • 妥当な理由は、〜〜(基本は山口社長の言ってることと同じ)

MBO株価1460円の妥当性

以下の通りだそうです。

  • 市場株価法、類似比較やDCFで検証し、妥当。
  • 最近の株価に対するプレミアムが50~60%もあるが、他事例は40%台とかが多いので妥当。ちなみに5月10日から三日間、原因不明の異常な株価高騰が起こっているが、これは異常事象なので、考慮外。
  • PBRは関係ない。うちの資産は流動性が低いので。またもし解体しようとしたらものすごいコストがかかるんだから。
  • 利益相反措置をきちんととって、少数株主に配慮して話を進めたので妥当。
  • 特別委員会が妥当だと言っているので妥当。

→とにかくPBR0.6割れのところに負い目を感じてる感が強いですね。じゃあせめてPBR1.0(2487円)で買えよと。