丸全昭和運輸(9068)の株価考察

丸全昭和運輸とは

横浜に本社のある、総合物流事業会社。メーカーからの物流事業のアウトソース(3 PL)、倉庫運営、運送事業等、物流に関する様々な事業を手広く出かけている。

社名の由来は創業者の中村全広氏の全と言う漢字から由来したもの。今も創業一族の中村氏の名前が役員の中あり、いずれは社長につく可能性があると思われる。大株主に丸善商事と言う資産管理会社もあり、一種のオーナー企業と見ていいと思う。

安定的に右肩上がりの成長を遂げている

以下の表の通り、リーマンショック以外ではずっと右肩上がりの安定的な業績を上げている。ここまで安定しているのって、他には上組ぐらいしか考えられない。背景には、ここ数年の日本の物流事業全体の右肩上がりのマーケット環境や、この会社の相対的な優位性があると考えられる。

持っている物流施設の含み益がすごい

有価証券報告書によると、以下の通り、全国に多くの物流拠点を保有しており、土地簿価を見ると何十年前に買ったんだろうと言う金額で計上されている。この10年ほど、こうした物流施設の家賃=収益性はどんどん上がっているので、見方を変えれば、この会社の収益性がどんどん上がることに直結している。

港関係の物流事業は参入障壁が高い

この会社の発祥は、昭和初期での横浜港での大手メーカーからの物流事業の業務受託だったようで、横浜港での物流事業と言うのは、政治や利権、組合がらみでいろいろ難しいところがあるので、新参の物流会社が簡単に新規参入できるような世界ではない。そこがこの会社の優位性になっていると考えられる。

ちなみに大阪港で古くから事業をしている上組は、おそらく世界の上場企業の中で最も安定的な業績を残してきた会社だと考えられるが、この会社もなんとなく似た匂いがする。

まとめ

この会社はある程度日新に似ているところもあるが、オーナー企業的な要素もあり、また、売上利益の安定性が日新よりもはるかに安定的なところが好感。

将来性についても、新たに得た資金は物流事業に再投資できるので、安定的な拡大を比較的低リスクで期待できるかと思う。

さらには 最近株価が落ちてきているのでPERで7倍くらいと割安放置感もあり、狙い目な気がする。こういう物流系の割安株を見るために思うのが、イマイチの物流施設がたくさん入っている物流リートが3%台の配当利回りで評価されているのに、それと比べたときの、この割安感。

大勝ちは期待できないけれど、キャッシュで銀行口座に入れておくよりははるかに良いかなという銘柄ではある。親子上場型のバリュー株のように、株価を放置されるような不健全経営的なリスクも少ない雰囲気。オーナー企業だし。

株価低迷の理由はいろいろあるのだろうが、社名のダサさや事業の地味さが、注目が集まらない大きな要因なのだろうとは思う。つまり両方ともビジネス的には本質的ではない内容なので、あまり気にしなくて良いかと思う。

個人的には、コロナのすぐ後に上組が暴落したときにうまく買えて(ちょっとだが)、その後上組が配当性向あげたり自社株買いを増やしたりして株価が1.5倍になった記憶が新しいのだが、ここも同様に株主還元をより手厚くする余地は多々あるので(現状はまだあまり手厚くない印象)、そういう意味での株価の伸び代も十分に残していると考えられる。逆に言えば、それ以外のきっかけで PER見直し側の要素で株価が上昇していく事は考えにくい、少し悩ましい銘柄とも言える。

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