守谷輸送機器(6226)の株価考察

守谷輸送機器とは

荷物用エレベーターの国内トップ企業。国内のシェアは過半数。特に結露対策等でノウハウが必要とされる冷凍冷蔵倉庫のエレベーターについては、大半のシェアを抑えている。また、自動車メーカーの研究所のエレベーターもここがほぼ独占と言うことらしい。

三菱電機、日立ビルシステム、東芝エレベーターは、すでに荷物用エレベーターから撤退しているので(オフィス・住宅向けをやっているだけで十分に儲かるし、結露対策等の面倒な手間もかからない)、それらの会社が新築時に導入していたエレベーターの入替・メンテナンスも、この会社か競合に回ってくることになる。

2022/3IPOからの値動き

公募820円。初値810円(時価総額140億円)。からの以下のような値動きです。514円(時価総額89億円)まで落ち込んでいます。だいたい四割引き。もともと2022/3、新興市場が死んでいたタイミングでの上場からの、この下落なので、これだけでも普通に割安と考えていいと思います。

ちなみに2022/3のIPOは、13社が上場を予定していましたが、5社が上場中止しています。それだけマーケットが悲惨だったと言う事かと思います。

なおこの会社の株価下落は、最近の激しい円安も背景とした原材料の高騰が、大いに影響しているとは思います。とは言え四半期決算発表は8月9日なので、以下のチャートを見ても、何か新しい悪材料が会社から出されてそれに反応したというわけではありません。(株価が大きく落ち始めたのは9月中旬ごろ)

ニーズが出てくるのは間違いない

物流不動産投資への資金流入が今とてつもない勢いできているので(物流不動産投資スーパーバブルが起こっている)、日本中あらゆるところで大規模な倉庫がこの先数年作りまくられるのは確実で、この会社の仕事が今後も大量にあるのは確実です。

なおかつ、普通の倉庫は誰でも簡単に作れるなかで、土地取得競争が激しいこともあり、最近はデベロッパーが「うちは冷凍冷蔵倉庫を作るので差別化になります!」と言う話も多く出ていて(変わったことをするので割高に家賃が取れますと言うロジックらしい…)、これまであまり手のつけられていなかった冷凍冷蔵倉庫の建て替えも進んでいくことが見込まれます。

なお、冷凍冷蔵倉庫は、これまで建て替えが遅々として進んでいませんでした。なぜなら、冷凍食品業界は利幅がとても少ない業界なので、土地取得競争に勝てなかった。(冷凍食品があれだけ安いことを考えるとわかると思いますが)

また、物流倉庫開発用地の奪い合いが激しすぎるので、昔のように容積消化しない、贅沢な平屋の倉庫とかはもう今後あまり出てきません。なので大半の倉庫に、荷物用エレベーターは必ず用意されるはずです。(ただしランプウウェイが設置される場合は、荷物用エレベーターが必要ないことがある)

ということで、どうあっても、この会社の仕事は増える傾向にあります。

事業成長に関する具体的な説明資料

IRで以下のような資料が出ていました。(全文)

業績数字的に、どんどん伸びていく傾向にあると思います。

この会社の良いところ

  • オーナー企業である。社名の通り、守谷さんがオーナー社長。
  • 物流施設開発のバブルを追い風に、仕事が断るほどある。この新規開発バブルは、私の実感では今後5年はエスカレートしそうだし、仮に新規開発バブルが将来沈静化したとしても、老朽化した施設の入替・保守管理修理の仕事はこの会社に残る。
  • 製造能力を上げるため、工場を新設しているらしい。生産能力は今の1.2倍にする予定とのこと。
  • 他のIPO企業と比べて、名前がダサイ。また業務内容もとても地味。株価が割安に放置されやすい。
  • シェアが高いので、コストアップを価格転嫁しやすい。インフレについていきやすい会社と考えられる。(ただし直近は、円安&原材料価格高騰の影響で利益率が下がっている。株価もそれを反映して下落してきている。結局のところ、この利益圧迫が一時的なものであれば、株価は上昇していくだろうし、この先延々と価格転嫁できないのであれば、株価が低迷したままになる懸念。)
  • 売り上げのうち45%が保守管理修理。設置後30年位経過したときには、入れ替えのニーズも発生する。一旦設置してしまえば、延々と仕事が取れる構造。
  • ニッチな事業である。エレベーター産業全体で、荷物用エレベーターと言うのは5%から6%位のシェアらしい。かつ、独自の技術も必要になるため、三菱電気や日立、東芝等の超大手が今更参入してくるリスクは低いと考えられる。
  • 財務が良い。ほぼ無借金経営。
  • ぽっと出の新興企業と違って、でたらめなビジネス(上場詐欺銘柄)であるリスクが低い。