親子上場のTOBを狙う

親会社によるTOBが起こりそうな上場子会社は?

親会社にTOBされれば、プレミアムが30%ぐらいつくので、結構な利益になります。なのでここでは親会社にTOBされそうな上場子会社を予想したいと思います。具体的に5社あげるので、一つくらい当たらないかなーと。

親子上場のメリットデメリット

メリットは、資金調達が有利、信用力、知名度が上がり採用や営業で有利になる、といった点があるようです。

デメリットは、親会社が子会社の利益を搾取するのではないかと疑いがかかり、特に海外投資家から評判悪いこと、また、それぞれに上場のコストがかかってしまうことがあるようです。ちなみに上場維持するには1年で1億以上かかるそうです。あと、グループシナジーを出す事業をやるときも、利益相反取引等で丁寧に扱わないといけないとなり、色々手続きがめんどくさくなることもあるそうです。もう、何もいいことないじゃんと。

最近は政府が国策として株式市場のガバナンス向上をあげていますから、親子上場も望ましいとは考えられておらず、経済産業省などもガイドラインとして、親会社OBではない社外取締役をたくさん置くなどを推奨しています。

ローソン(2651)

2020年に伊藤忠が上場子会社のファミリーマートをTOBしたケースからの連想です。三菱商事が50%ちょっと持っています。

まず、ローソンは資金調達の知名度も全く困っていないはずなので、親子上場のメリット全くは無いはずです。また、親会社の三菱商事はTOBの資金も十分に持っている会社ですし、海外投資家からどう見られるかも非常に気にするタイプの会社だと思うので、可能性は充分あると思います。

そしてライバルの伊藤忠がファミリーマートを買ったと言うことからも、負けてられないと言う意識が出るのではないでしょうか。(伊藤忠の方がガバナンスの優れた会社と海外から見られてしまう?)

最近決算が悪くまあまあ株価が落ちているのも、狙い目かなと思います。

イオンフィナンシャルサービス(8570)、イオンモール(8905)

イオンFSは四季報によれば、「イオン系の金融サービスを統括する会社。グループで銀行、クレジットカード等を展開している。東南アジアにも展開。」と言うことです。イオンが48%の株を持っています。

イオンモールは四季報によれば、「イオンのショッピングセンターや、商業施設OPAを開発・運営している。中国やアセアンで海外展開している。」ということです。イオンが58%の株を持っています。

2社ともに、知名度・信用力・資金調達については、それぞれが個別に上場してるメリットは全くないと思います。

イオンは以前から「株主軽視」的な姿勢が問題になっている会社で、いわゆる株主価値の向上で株価を上げることを目指すよりは、株主優待で割引券を餌に出して個人投資家を多く集めて経営の安定を目指す、言い換えれば小細工で株主からのプレッシャーを回避するようなスタイルを貫いてきました。純投資を目的とする海外投資家から評判が悪いスタイルです。競合のセブン&アイと比べても、海外投資家比率が3分の1位しかないそうです。

そういう流れで、本業のスーパー事業よりも、不動産事業と金融事業の高収益頼りな特殊な利益構造になっています。なのに、せっかくのROEの高い事業である金融サービス子会社と不動産デベロッパー子会社を、なぜ48%/58%しか持たずに利益を外部流出させているんだ?と言う視点で、親子上場解消の有力候補だとあげる記事をよく見ます。

でもその一方で、それでも長年ほったらかしにされていたと言うことも、事実ではあります。上述の通り、経営層にもプレッシャーがかかりにくい体制が確立していますし。では、何かきっかけはないのか??

こういう中で、今回のコロナが起こったわけですが、想像するに、イオンとイオンモールの間で、施設休業中の家賃の取り決めについて、かなり微妙なやりとりが起こったはずです。まったくの別資本の会社であれば、ガチンコで交渉すればいいだけですけど、こういう利益相反で微妙な関係にある会社が、第三者への説明責任を意識しながら程良い落としどころを見つけると言うのは、経営層も相当ややこしい問題に感じたはずです。現場も、なんでこんなに忙しい中、色々と無意味に配慮しながらコロナの急展開で時間の少ない中で弁護士確認等を進めないといけないのだろうと、苦悩は多かったと思います。なのでこの際、親子上場を解消してしまおうと考える可能性が高いのではないかと、私は考えます。良いきっかけになったのではないかと。

そして、どうせやるならイオンモールだけではなく、イオンフィナンシャルサービスもセットでやってしまおうと考えるのではないでしょうか。

時価総額で、モールが3800億円位、FSが2800億円位なので、持分比率も考えて、プレミアムの30%を含めても、両方で4500~5000億円ぐらいあれば完全子会社化できそうです。イオンの規模、体力を考えればそんなに難しい金額ではないと思います。

JFEコンテイナー(5907)

以前の記事にも書いた通りです。

JFEは最近キャッシュがたくさん入っているので、グループ再編に資金を使う可能性は十分にあるのではないでしょうか。リスクもほとんど無く、手っ取り早く仕事をやった感の出せる取り組みでもありますし、JFEのような古い超大企業が投資資金ができたときにやりたがるような気がします。

ジェコス(9991)

上と同じくJFEグループの会社です。JFEが50%ちょい株を持っています。

仮設鋼材のリース事業と言うすごく安定的な事業で、PERで7倍位なのでそもそも割安感がまあまああります。四季報には、JFEグループと連携し新規事業拡大していきたいと書いてあるので、親子上場である点はマイナスに働いていると思います。わざわざ利益相反取引の審査作業などをする必要が出てくるはずなので。

また、JFEグループなので、資金調達や信用力には何の苦労もしていないと思います。上場のメリットが特にありません。

ここも中期的には下の通り株価がまあまあ落ちてきているので狙い目かと。