イトクロ(6049)の株価考察

イトクロとは

四季報によれば、「教育関連で国内首位の口コミポータルサイトを運営している。閲覧ユーザの問い合わせ数に応じて塾などに課金している。」とのこと。「塾ナビ」が主力商品(サイト)です。

収益がGoogleに圧迫されまくっている

こういう口コミサイト事業って、食べログクラスなら充分やっていけるんでしょうけれど、「食べログ」みたいにご指名で検索が来ない業態だと、最近は相当きついようです。

なぜなら、例えば口コミのホームページで稼ぎたいときに、塾から広告料を取る必要が出てくるわけですが、実はそれって、Google(的な類似事業含む)とエンドユーザーの間に入って収益を抜くビジネスなので、Googleがその間の収益を削る方向でどんどん改善をしていくわけで、実際にこの会社の収益性も、Googleの定期的なルール変更によってどんどん落ちてきているのが実情です。

全然事業領域の拡大ができていない。成長性サッパリ

学習塾以外、専門学校などの領域にも広げてみたり、広告のクリック収入以外にも、専門学校から直接資料請求の窓口となって手数料取るような商売を始めたりしていますが、感覚的にわかると思いますが、いずれもたいして儲かっていません。成長感のある IT企業的な収益を全然上げられていないのが実情です。

利益は定期的なGoogleのルール変更に押されてひたすら下落傾向です。その結果、下のような悲しいチャートになっています。

非効率な経営

2021/10決算短信によれば、売り上げは年間40億円位で、営業利益は10億円位です。この落ちまくった株価417円(時価総額94億円)に対しても、1株当たり利益は25円しか出ない予定なのでPER17とかです。でも成長性ないんだからもっと株価下がってもいいような気もしてきます。

従業員は146人もいるようです。営業能力があったり、ホームページを作るスキルがあったり、能力の高い人がたくさんいるのでしょう。それでこの売上・利益の数字しか上がっていないと言うのは、なんだかとても社会的に無駄な気がします。

ちなみに食べログをやっているカカクコムは、従業員1200人で、売り上げ600億円、営業利益270億円(2020年)です。時価総額は5000億円近いです。もうこの際、会社ごとカカクコムに売っちゃえばいいじゃん…

やたらとキャッシュを持っている

2021/10決算短信によれば、なんと現金を88億円も持っています。そして負債は合計で9億円だけ。それに対して、時価総額は94億円しかありません。まあ無駄に現金持ちすぎです。2015の IPOで期待値だけで65億も集めて、そこからしばらくはGoogleの締め付けもなかったのでまあまあ利益も出て、そんなこんなでたまった貯金かと。

さすがに株価が落ちすぎ

さすがに株価は落ちすぎでしょう。純資産で80億円位あって、毎年10億円の営業利益が出る会社で、時価総額が90億円ちょいって。

まあ、最近のマザーズの暴落にも巻き込まれまくりかと思います。1月14日に自社株買いを発表したりしていますけども、株価には焼け石に水と言う感じです。というか、自社株買いでは、「従業員に有効な仕事をさせられていない」と言う問題は解決できませんから。

ちなみにこの会社は山木社長が54%位の株を持っているので、敵対的買収をかけられても、山木社長がうんと言わなければ買収はできません。なので、外部から狙われたりする可能性はあまりないように思います。

それでも、なんだかこのままずっとこの会社が続いていくのは、目的地ももはやよくわかりませんし、いずれ山木社長がギブアップして、自社株をどこか大手の IT企業に譲渡して、そのタイミングでTOBもかかったりして完全子会社になるのではないでしょうか。

なんか最近のマザーズ暴落で、こういう意味不明な株価になってしまった会社、結構あるような気がします。もっといろいろ見てみようかな。