日本リビング保証(7320)の株価考察

日本リビング保証とは

四季報によれば、「住宅設備機器保証修理と、メーカー保証事務が二本柱。商流の住宅会社に有利なポイント制に強み。」

なんかこれだけ読んでもあまり意味がわかりませんね笑

2018/2 IPOと今の株価

公開価格 時価総額27.5億

初値   時価総額79.7億

現在   時価総額105.4億 (2022/1/13終値ベース)

2021/11くらいに時価総額で一瞬180億円位いきましたが、最近のマザーズ暴落に巻き込まれるなどして、かなり落ちてきています。

ちなみにこの会社は、IPOのタイミングで3.2億円しか資金調達をしていません。これは、日本でIPOすると公開価格がやたらと低く設定されてしまうことから、上場はしておきたいけれど、安くは株を出したくないと言う考えがあったのではないでしょうか。裏返せば、経営層は事業に強い自信があるのだと思います。

ビジネスモデル

まず、住宅設備機器保証が主な業務です。住宅販売会社などに営業をかけて(代理店営業)、住宅を購入する個人向けの設備機器保証商品を、住宅販売会社から個人に対して販売してもらいます。

一般的に住宅設備機器(トイレ、洗面台、バスタブ、システムキッチン、給湯器、浴室乾燥機など)は、メーカーの保証が2年位だけ付いていますが、ということは3年目以降に故障しても保証してもらえないので、個人の住宅購入者はそこに不安を感じます。そこでこの会社が、3年目から10年目の保証商品などを提供しています。

次に、実際に故障したときのコールセンターをこの会社はやっています。コールセンター事業自体は、そこまで利益率の高い事業ではないと思いますが、コールセンターもやっていると言うことで、住宅販売会社からすれば、顧客へのアフターサービスを一貫して丸投げできるメリットや、あわよくばリフォームの相談も引き出せるチャンスが出てくるので、パートナーとしてはとても頼りになる会社になります。結果、冒頭で主な業務としてあげた、設備保証の代理店営業も優位に進めることができます。

上以外にも「中古住宅の品質保証商品」など、いろいろ保証商品を出しているようですが、ここでは割愛します。

いずれにせよ、ニッチな領域で、上手に勝ちパターンを作れている会社だと思います。

その他、この会社の(株主として)有望な点

以下の通り、色々と有望な点があります。

  1. オーナー企業であること。社長の安達さんは13.4%、副社長の荒川さんは13.1%の株を持っています。彼らは、やる気のないサラリーマン社長と違って、株価を上げたいと言う強いインセンティブを持っていると思います。
  2. 「保証」と言う、工場や多くの従業員の管理等を必要とせず、購入者との情報の非対称性も大きい、利益率の高い商品を扱っていること。
  3. 既にプラットフォームが概ね出来上がっているので、今後の売り上げの伸びは、大半がそのまま利益になるだろうこと。
  4. 住宅の設備保証と言う、比較的ニッチなビジネス領域で、トップクラスのシェアを持っていること。たいていの見込み客、例えば大手不動産販売会社などは全てアプローチが完了しており、かなりの会社が既に顧客になっている。そのため、ゼロから新規参入した競合他社がシェアを奪う事はとても難易度が高いし、そもそも初期投資もそれなりに大きな額が必要になるはずなので、わざわざ参入しようと考えない可能性が高い。
  5. そこまで先進的なイメージのある社名ではない(少しダサイ) が、やっているビジネスは、最新の情報通信技術を使わなければできないものであること。例えば、30年前にこの会社のビジネスをできたかと言うと、パソコンの処理能力や通信速度の遅さがネックとなり、できなかったはず。あと、リスクを引き受けてくれる損害保険会社もいなかったと思われる。

純収益に影響を与える2つの特殊な「仕組み」

上のビジネスモデルだけでも、この会社が非常に優れていると言う事はわかると思うのですが、本当に凄いのはここからです。

まず、この会社が保証商品を販売した時は、販売したタイミングで一括で保証料を受け取る反面、会計上は、全てが売上に計上されません。例えば10年間の保証商品であれば、販売した年には10分の1しか売り上げに計上されず、その後毎年、10分の1ずつが売り上げに計上されると言う会計方式をとっています。これは、見方を変えれば、法人税を払うタイミングが将来に繰り越されている、あるいは、会計上の利益が将来に先延ばしされている、と言うふうにも取れます。手元にキャッシュが残りやすい方法です。また、将来の売上&利益がとても大きくなる仕組みにもなっています。

次に、この会社は、豊富なキャッシュを生かして、頻繁に収益不動産を購入しています。賃貸マンションなどよく購入しているようです。これは、見方を変えれば、減価償却の多い不動産というアセットを購入することで、上と全く同じですが、法人税を払うタイミングを将来に引き伸ばし、また、会計上の利益は手前ほど小さくなり、償却が終わった将来ほど大きくなります。

上の2つの特殊性から、この会社は、今の利益・課税額が抑制されつつ、将来の利益が大きく伸びることが「仕組み化」されています。そして、この会社が上場しているマザーズのような新興市場では、利益の成長率が大きいと、個人投資家たちが「急成長銘柄があった!!」と、でたらめな株価で取引をするようになるケースが多いわけで…→このあたりをこの会社の経営者層が確信犯的に狙っているとしたら、めちゃくちゃ頭がいいと思います。

将来的な株価予想

例えば5年後、利益が倍以上になったときに、個人投資家が盛り上がってしまい、PERで 50~100倍といった値付けが「されてしまう」こともあり得ると思います。そうすると、株価はすぐに今の5~10倍程度には上がっていくでしょう。テンバガー有望株だと思います!